プロジェクトの軌跡

クリスマスプレゼントが勇気をくれた

来なければいいと思っていたクリスマス。
黙っていても、足音を立ててやってくる年末年始。
シングルファミリーにとって、年中行事や長期休みは辛い時期だ。
ふだんさみしい思いをさせている子どもに、たくさんのことをしてあげたいのに、
お金がなくて、時間もなくて、してあげられない。
その現実を突きつけられるのが、12月のこの時期。

切ない気持ちで迎えた12月25日。
ハートフルファミリーからわが家にBOXが届いた!
子どもや私への素敵なクリスマスプレゼント!
ああ、私たちに寄り添ってくれる多くの人がいる。
私たちは一人じゃない。
頑張るんだ、乗り切るんだ!
勇気が湧いてきた。

――そんなシングルマザーの声が、ハートフルファミリーの事務局に届いた。


 

少しでも明るいクリスマスにという思いから

少しでも楽しみにできる何かを、心温まる瞬間を、クリスマスの日にシングルファミリーに届けたい。
ハートフルファミリーの理事・西田真弓が、シングルマザーとして過ごした15年間の思いを込めて
2016年、「まずはできることから」と小さく始めたのが、このクリスマスプロジェクト。
クリスマスが、少しでも明るい日になるように。元気をもらえて、未来に向かう勇気が湧いてくる日になるように。
その思いを1つの箱に詰め、ハートフルファミリーにつながっているシングルファミリー会員に届けようというものだ。

西田と一緒にプロジェクトを率いているのは、ハートフルファミリーの代表理事・藤澤哲也。
彼自身、シングルファミリーに育った。
寂しい夜が、さらに寂しく感じられたクリスマス。
でも、母が頑張っていると知っていた
だから、笑っていようと思った。……でも、寂しかった。
日本中に、同じ思いを抱えながら、日々頑張っているシングルマザー、シングルファザー、そして子どもたちがいる。
多くの方の共感を得て支援の輪が広がり、
2016年から5年後の2021年にこのクリスマスプロジェクトは、
6000世帯・10000人の子どもたちを対象とする巨大なものとなっていた。
 
 

できるのか? 6000世帯・10000人!

6000世帯・10000人!
昨年のおよそ2倍!
今のハートフルファミリーにとっては、あまりにも無謀な数字だった。
西田は思い悩んだ。
空っぽの箱を配送するだけでも、いったいいくらかかるのだ。
そもそも、6000個のプレゼントはどうする?
コロナ禍で、さまざまなイベントも中止になるなか、迷い悩むうちにどんどん月日は過ぎていった。

今年はもう諦める? 何度も考えた。

でも、心のどこかで、やらない選択肢はないと思っていた。
「今年はサンタは来なかった」 そうはいかないよね。
楽しみにしてくれているシングルマザー、シングルファザー、そして子どもたちがいるのに!

しかし、資金、物資、梱包スタッフ。何一つ揃っていなかった。

あらためて、クリスマスプロジェクトのコンセプトを整え、
なぜハートフルファミリーがここまでクリスマスにこだわるのかを多くの人に聞いてもらった。
今年のクリスマスのためだけではなく、今年から始まるクリスマスのことを…

大きな力になってくれたのが、グラミン日本の代表理事 百野公裕氏である。
百野氏は、こう話す。
「西田さんの話を聞いて、多くのシングルファミリーが抱えている悩みがどんなことなのかがわかりました。
シングルファミリーにとって大切なのは、経済的な自立と心の自立。
心の元気を届けることで、本当の自立を後押しするのが
ハートフルファミリーのクリスマスプロジェクトなのだと、理解できました。
グラミン日本として、一緒に取り組むことの価値を感じたのです」

グラミン日本の協力を得て、2021年のクリスマスプロジェクトは動き始めた。
しかし、百野氏が西田からクリスマスプロジェクトの話を聞いたのは、10月になってからのことだった。

クリスマスまで2か月しかない。

「たくさんの課題を前に、西田さんは思い詰めていましたね。
でも、このプロジェクトを成功させたら、新しい素敵な社会に向かえるはず。
彼女自身がそう信じていたし、その話を聞きながら、僕もワクワクしたんです。
できることをなんでも応援しようと、グラミンサポートメンバーへの協力を促しました」

応援してくれる人がいる!
それが大きなエネルギーとなって、ハートフルファミリーのクリスマスプロジェクトは
「HIGH FIVE CHRISTMAS」という今年から始まる新しいプロジェクトへと形を変えて動き出した。
来なければいいと思ってしまうクリスマスを、来年へ向けて強く背中を押してくれるクリスマスに。
シングルファミリーの頑張りが、世の中の人たちに伝わるクリスマスに。
多くの人たちができることに参加し、サンタクロースになれるクリスマスに。
シングルファミリーが親子で、子どもたちがサンタと、私たち応援者同士が、
「やったね」「頑張ろう」と笑顔でハイファイブする瞬間のために、プロジェクトは動き出した。
 

さあ、始動! 「HIGH FIVE CHRISTMAS」

11月16日
ウェブサイトによる呼びかけを始めた。
※ HIGH FIVE CHRISTMAS2021 特設サイトはこちら ≫
そこから、著名人が手を挙げ、
箱の中に入れるお菓子やグッズなどのプレゼントに協力してくれるメーカーが決まっていった。

#ひとり親家庭のサンタになろう

これが、今年から始まる合言葉。
この言葉がずっと続くけていくことができるように。
西田はもう、迷わなかった。

梱包日として2日間を設定し、埼玉県坂戸市の倉庫に集まって作業をしてくれるボランティアを募った。
送料を集めるために、クラウドファンディングも始めた。

12月1日
10,000人に届ける箱の中身が集まってきた。
6000箱を梱包する。昨年の倍の量。
届いた荷物を見て、段ボールの束を見て、西田はことの大きさを噛み締めた。
すごい量…
これらをこれから梱包するのだ。

12月10日
伝票の手配。
出荷数を決定する必要がある。
しかし、送料は集まっていなかった
代表の藤澤はこのとき、ひとり覚悟を決めていたという。
なんとかならなくても、なんとかしよう。
応援がある、待っている人がいる。
「小さかったときの自分の姿を遠くから見ているようだった」と、振り返る。

そして、決めた。「10000人に送ろう!」

あと15日でクリスマスがやってくる直前の決断だった。
藤澤のその決断から、呼びかけはさらに加速した。

同時に、撮影舞台が動き出した。
倉庫から届けるクリスマスイブーー昨年から始まった配信番組だ。
シングルファミリーにとって、クリスマスイブとクリスマスが2日間にわたっていることが苦しい。
世の中のにぎやかさに比べて、私たちは……と、寂しい時間が長引くのがつらい。
少しでも、楽しいことで埋められたら。そうして生まれたアイデアが、配信番組だ。
オンラインなら、全国の仲間とつながれる。
コロナ禍で、おうち時間が推奨されていることもこの試みを後押ししてくれた。
テレビの前で歌ったり踊ったりを一緒にしながら、
ハートフルファミリーからのメッセージを届ける番組にしよう。
収録が進んでいった。

12月12日
梱包日まで1週間を切り、倉庫にはどんどん荷物が集まってきた。
その傍らで、スタッフが段ボールの箱をひたすら組み立てていく。
事前の準備をどれくらい完成させておくかが成功の鍵だ。
藤澤は、梱包日のトラブルやアクシデントを想定して現場へ注力を注いでいた。
事務局も、昼夜準備に明け暮れた。
サポートの百野氏は毎日、西田への電話を欠かさなかったという。

12月17,18日の梱包日には、全国から応援に駆けつけてくれる多くのボランティアがいる。
ハートフルファミリーを応援してよかった! そう思ってもらえる2日間にしたい。
ボランティアへのサプライズ計画も同時に進められていた。

運び込まれる荷物。
積み上げられていく段ボール。
藤澤も西田も、倉庫に泊まり込んでいた。
きっと大丈夫、うまくいく。
そう思いながらも西田は、前日まで、不安でいっぱいだった。
「がんばれ」「応援してる」
届く言葉の重みを感じながら、西田はシングルマザー時代、同じように声をかけられて頑張った日々を思い出した。
今、シングルファミリーのみんなへ声をかける私たちハートフルファミリーは、
応援があるから頑張れるということを忘れないために、
今、こうして戦っているのかもしれないと思った。


12月17日
全国からボランティアが集まり、梱包日を迎えた。
会場にはクリスマスソングのBGMが流れていた。
ボランティアに参加してくれた一人ひとりの思い出の1曲を集め、2021年のオリジナルBGMをつくったのだ。
大好きな曲を口ずさみながら、梱包作業をしてほしい。

プロジェクトTシャツに着替えたボランティアスタッフが、所狭しと動き回る倉庫は本当のサンタクロースの倉庫のようだった。
全員がハートフルファミリーの1員として、プロジェクトの意味を理解し、ミッションを共有していた。
作業開始にかけた言葉。
「今日私たちが楽しむことで、その楽しさがシングルファミリーさんへ届くと思っています。
元気いっぱいの空気をみんなでつくり、箱の中に詰め込みましょう!
よろしくお願いします!」

この日、サプライズで現場に現れたのはブラザートム氏。
彼自身、シングルマザーに育てられた子どもだったという。
倉庫ではボランティアスタッフとともに梱包作業をしてくれた。

作業が続くなか、ボランティアスタッフの顔に少し疲れが見え始めた。
休憩時間、ブラザートム氏から「踊らないか?」との呼びかけが。
ハードな現場に、あたたくて楽しいエネルギーがチャージされた。
まさにハートフルな時間だった! その場にいた全員が笑顔でいっぱいになった。




トムさんと踊った全編による倉庫からのメッセージMOVEはこちら ≫

12月18日
作業2日目。
シングルマザーに育てられたメンバーが半数を占めるダンスチームが梱包スタッフの中に混じっていた。
そして仕掛けられたフラッシュモブ。
突然のダンスパフォーマンスが始まった!
サプライズに気づいたボランティアスタッフに笑顔が生まれた。
前へ! という呼びかけで、ボランティアスタッフもダンスの輪に交じり、みんなで踊った。
2021年のクリスマス、ボランティアとして参加したこの日がそれぞれの思い出に残ってほしい。
そんな気持ちが込められたサプライズイベントだった。

一人ひとりがサンタに

Wanted santa!!
ひとり親家庭のサンタになろうという呼びかけで集まったボランティアスタッフは、110名。
熊本県、石川県、そして関東の各地から。
埼玉県坂戸市にあるこの倉庫へは、決して近くないところから集まってくれていた。
クリスマスプロジェクトの実現に、彼らの存在は欠かせない。
一人ひとりができることをし、少しずつの力をたくさん集めれば大きな力になる。
梱包が完成して積み上げられた箱の数が、それを物語っていた。
この箱は全国各地へと旅立っていく。
あなたは一人じゃない。全国のみんなとつながっている。

ボランティアスタッフも、そのつながりを実感していた。
楽しかった! という声を残し、ボランティアスタッフは倉庫を後にした。
ハートフルファミリーがこの2日間でボランティアスタッフに期待したのは、箱詰めを完成させることだけではない。
みんなで作業をすることで、ハートフルファミリーの一員だと感じてもらうこと。参加してよかった! という感動をもち帰ってくれること。
そして、また来年も参加したい、これからもずっと応援したいという気持ちになってもらえたら。


 
梱包作業を終えて、こんなメッセージが届いた。

本当にお疲れ様でした‼️
すばらしい活動に関わらせていただき、ありがとうございました
動画拝見しました!
魂のこもったすばらしいムービーですね❣️
観ていて心があたたかくなりました~😍
何より関わるみなさんの表情が最高ですね!

動画観ました!
ハートフルファミリーの支援活動に参加させていただいてよかったなと思いました!
ボランティアに参加することで、シングルファミリーについて考えるきっかけになりましたし、自分で少しでも人のために行動する事は自分の心を温めてくれると感じる事ができました。
また機会があれば参加して、少しでもシングルファミリーのお役に立てればと思います。
ボランティアを企画していただきありがとうございます

ボランティアスタッフの中には、坂戸市の学生たちもいた。
ボランティア活動を通し、社会課題に取り組むことの大切さを学ぶ機会になったという。

はじめてのボランティア参加で不安もあったのですが、楽しく取り組むことができました!
トラブルにも迅速に対応していただき、本当にありがとうございました!
大学の授業で学べるものは理論でしかないため、実際はどのような支援が行われているのか興味を持っていました。
今回ボランティアというかたちで支援に関わることができてよかったです。よい経験になりました!
また機会があれば参加させていただければと思います! 2日間ありがとうございました。

 

こうして、HIGH FIVE CHRISTMAS 2021年は幕を閉じた。
いま、全国のシングルファミリーから、冒頭で紹介したような喜びの声が続々と届いている。


2022年のクリスマスに向かって、ハートフルファミリーは新たなスタートを切っている。

ライター 上條まゆみ

 

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